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精神医学と司法――kさんのコメントから―― (2)

実は私自身,1度だけ精神鑑定を行ったことがあります。
大事件の鑑定ではありません。
深刻とは言えない傷害事件で,現行犯逮捕された被疑者に施設入所歴があったために精神鑑定が行われることになり,縁あって私が鑑定医になったのです。

結果からいえば私はその被疑者に軽度精神発達遅滞の診断を下し,責任能力はありと判断しました。その判定結果は受け入れられ,累犯者であった被疑者は求刑通りの判決を受け,服役することとなりました。

私は,その経験から,2つの理由で,今後二度と精神鑑定を行わないと決めました。

理由の1つは,単刀直入にいえばお金です。

精神鑑定で精神科医が得る報酬は,かけた時間や手間にまったく見合うものではありません。

その被疑者が普通の外来患者として私の外来を受診していたなら,私は30分もかけずに軽度精神発達遅滞のあたりをつけ,知能検査をオーダーして,その結果をもって診断を確定していたでしょう。

しかし裁判の証拠として診断が提出されるとなれば,その確定のために,認知機能低下をきたす他のあらゆる(と言うと大げさですが)疾患を除外しなければなりません。
結果,膨大な量の検査が必要となります。しかもそれらは健康保険の対象外なので,支払いを受けるには特別の手続きが必要です。その書類仕事の手間はかなりの負担でした。

そして,たったそれだけの情報を証拠として提出するために必要な文書量がまた尋常なものではありません。診断書を1枚書けば終わり,というものではないのです。

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2007年07月30日 08:04に投稿されたエントリーのページです。

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