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「精神安定剤」という言葉の功罪 (4)

広義の「安定剤」は、「自律神経失調症」と並んで、こうした古き悪き時代の精神医学の「暗黙の了解」を象徴しているような印象があり、私は個人的には好きな言葉ではありません。

で、ずいぶんと遠回りしましたが、向精神薬でホルモンバランスに影響を与えるものはあるでしょうか。
思いつくかぎり、直接的にホルモン分泌が変化するのはドーパミン遮断作用をもった薬物を使用した場合に起こる高プロラクチン血症くらいです。

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プロラクチンは乳汁分泌ホルモンのことですが、内分泌系というのは複数のホルモン分泌がたがいに影響しあうので、高プロラクチン血症によって二次的に他のホルモンのバランスも崩れます。
ドーパミン遮断作用をもった薬物というのは主に抗精神病薬(セレネースとかリスパダール)ですが、抗うつ薬の一部(アモキサンなど)にもこの作用をもつものがあります。ドグマチールなどもしばしば高プロラクチン血症が問題となる向精神薬です。



狭義の安定剤でホルモンバランスが崩れる可能性は高くはないので、ホルモン異常が起こるとすれば、「安定剤」という説明のもとに抗精神病薬か抗うつ薬を処方された場合だと思われました。

病名告知に関わる問題でもあり。電話対応の範囲を超えているので、電話をかけてきた患者さんにはセカンドオピニオンを受けるための受診予約をとっていただきましたが、結局、その日には来院されませんでした(この項終わり)。


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コメント (2)

匿名希望:

いつも先生のブログで勉強させていただいています。
「自律神経失調症」にかんする先生のお考え、もっともと思います。
私も同じ診断で数年来「精神安定剤」の処方を受け続けていましたがまったく良くならず、最近になって主治医が「やはり鬱だったのかも・・・」と言い出してこううつ薬のパキシルを処方されました。
しかしパキシルでも良くならないので、最近、インターネットの通信販売で、日本では承認されていないプロザックといういちばん強いSSRIを購入しました。
ちなみに購入したホームページは「医薬品通信販売オンライン」というところです。
http://drug5online.blog22.fc2.com/
こうした、自分で輸入したお薬の飲み方や量は、主治医には相談できないため、先生におすがりできないかとコメントしました。
自律神経失調症が疑われるような鬱病の場合、プロザックはどれくらいの量を、どのようなタイミングで飲めばよいのでしょうか?
教えていただけますと幸いです。

うつ病:

見ているだけで楽しくなります。行った気分で満喫!また、遊びに来ます!

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2009年03月01日 15:37に投稿されたエントリーのページです。

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