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精神科の薬はクセになるか? (4)

一定期間、一定量服用していたベンゾジアゼピン(睡眠薬や抗不安薬)を急激に中断することでまず生じる不都合は「反跳現象」です。

横文字で「リバウンド」と言ってしまった方がイメージが掴みやすいかもしれません。

ベンゾジアゼピンは多くの場合、不眠や不安を標的症状として処方されます。
精神科臨床で問題となる不眠や不安は、精神疾患の部分症状――風邪における咳や鼻水のようなものであって、決して中核的な症状ではありません。

風邪そのものが治ってしまえば咳止めや抗ヒスタミン薬が必要無くなるように、精神科の疾患をお持ちの患者さんでも、そもそもの病気が良くなればベンゾジアゼピンを飲む必要は無くなるはずです。

ところが、少なからぬ患者さんでこのベンゾジアゼピンからの「離脱」がうまくいきません。
リバウンドのためです。

最近そういう名前のチョコレートが市販されていますが、ベンゾジアゼピンが脳内で作用する対象は、GABA(ギャバ、ガバなどと発音されます)という神経伝達物質の受容体です。

かなり大雑把に言ってしまえば、脳の中でGABAがたくさん分泌されると、人間はリラックスしたり眠くなったりします。

ベンゾジアゼピンはこのGABAの働きを強める性質があり、ベンゾジアゼピンを服用していると、わずかな量のGABAしか分泌されていなくてもその作用が増強され、不眠や不安が抑えられます。

GABAの効率が良くなるわけですが、ベンゾジアゼピンが慢性的に摂取され、脳がその状態に慣れてしまうと、GABAを分泌する脳の機能が衰えてしまうことが知られています。

これがベンゾジアゼピンの耐性や依存性の基盤となります。

慢性的にベンゾジアゼピンが投与されることに脳が慣れてしまったところで急にベンゾジアゼピンを中止すると、脳としては二階に上がったところで梯子を外されたような案配になってしまうわけです。


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2006年12月07日 21:53に投稿されたエントリーのページです。

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