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線維筋痛症 (5)

うつ病の症状として痛みが出現することがありますし,うつ病になると身体的な痛みを強く感じるようにもなります(これを「疼痛閾値が下がる」と言います)。

しかし,線維筋痛症に対して抗うつ薬,なかんづくセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が有効であるという事実は,線維筋痛症がうつ病の一亜型であることを意味するものではありません。

もちろん,強い痛みが慢性的に続くわけですから,線維筋痛症の患者さんが抑うつ的になるのはおかしいことではありませんし,そのことで尚更痛みを強く感じるようになり,それでまた抑うつ的になる……という悪循環が形成される可能性は高いでしょう。
SNRIによって抑うつ症状が改善すれば,この悪循環が断ち切られ,線維筋痛症の症状が改善する,ということはありそうです。

しかしこれまでの研究は,SNRIが,抑うつ症状の改善とは無関係に線維筋痛症の中核症状を改善させることを示しています。

つまり,抑うつ症状が改善しなくても疼痛が軽減したり,逆に抑うつ症状が改善しても疼痛が軽減しなかったりすることがあるという意味です。


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コメント (1)

SNRIによる治療で,抑うつ症状の改善と線維筋痛症の中核症状の改善が必ずしも連動しないということが、線維筋痛症がうつ病の一亜型では”ない”ことを意味するものでもないと思いますが・・・。

多彩なうつ病の症状の中で、薬物投与によって改善されるものもあるし、改善されないものもある。
その時改善した症状はうつ病の症状で、改善しなかった症状はうつ病の症状ではない。
そんなにシンプル過ぎる解釈が成り立ほど、うつ病に関する知見は集積されているでしょうか?

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2007年05月09日 20:43に投稿されたエントリーのページです。

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