
奇しくもこの主治医自身が言っている通り,双極性障害(躁鬱病,躁うつ病)と境界性人格障害(ボーダーライン・パーソナリティ・ディスオーダー)の鑑別はしばしば困難で,横断像だけからでは判断できないことも少なくありません。
そして適切な治療がなされずに慢性化してしまった双極性障害の病像は,多くの場合で人格障害のように見えてしまいます。
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たなか氏の場合も,10代後半で発症した双極性障害としても説明がつきそうな気もするのですが……。
加えて,この主治医はたなか氏に対して境界性人格障害を標的とした精神療法を施していますが,これもどうかと思われます。
双極性障害と境界性人格障害の併存という診断が正しかったとしても,前者がコントロールされない状態で後者への治療を先行するのは,患者さんにとって非常に辛いであろうと思われるやり方だからです。
糖尿病患者さんが風邪をひき,それに対する適切な治療を行えずにこじらせてしまい,肺炎を起こしてしまったのに,糖尿病に有効だからという理由で運動療法を課しているようなものです。
たなか氏の予後は大いに懸念されるところですが,これは広くわが国で不適切な治療を受けているすべての双極性障害の患者さんにも言えることです。
願わくは,正しい治療法や,それを行える精神科医についての情報が広く知れ渡るような制度が整備されますように。
拙記事が,いくらかなりとも皆さんのお役に立ったならば幸いです。
(この項終わり)
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糖尿病患者さんが風邪をひき,それに対する適切な治療を行えずにこじらせてしまい,肺炎を起こしてしまったのに,糖尿病に有効だからという理由で運動療法を課しているようなものです。
たなか氏の予後は大いに懸念されるところですが,これは広くわが国で不適切な治療を受けているすべての双極性障害の患者さんにも言えることです。
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