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線維筋痛症 (4)

診断
線維筋痛症の診断は多分に除外診断的要素が含まれる。
前述の症状を呈し,特異的な圧痛点で陽性所見が認められる場合に線維筋痛症と診断される。
米国リウマチ学会による分類基準は診断の参考となる。
※ 確立した診断基準は無いようです。米国リウマチ学会による分類基準についてはCo-Cure-Japanのウェブサイトなどに掲載されています。

治療
抗うつ薬の有効性が確認されている。
三環系抗うつ薬は線維筋痛症のすべての症状をプラセボよりも有意に軽減させるが,三環系抗うつ薬が有効な患者は全体の30%程度である。これは,過去の臨床試験で用いられた三環系抗うつ薬の用量はいずれも低かったことと関係しているかもしれない。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)では,フルオキセチンとシタロプラムについて研究がなされている。抑うつに対する効果は確認されているが,疼痛に対する効果は一定しない。
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)ではデュロキセチンとミルナシプラン(トレドミン)について研究がなされている。いずれも,高い有効性と安全性が報告されている。
これらの所見から,線維筋痛症に対しては,セロトニンとノルアドレナリン両方への作用を有することが重要と考えられ,SNRIが第一選択治療薬と位置づけられるであろう。


<出典>
「線維筋痛症の概念と治療アプローチ」
西村勝治(東京医科大学医学部精神医学教室)
「臨床精神薬理」,2007年2月号(第10巻第2号)


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2007年05月08日 22:35に投稿されたエントリーのページです。

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